手順書で新人が見落としがちな5つのポイント|運用現場の実例から学ぶ事故の防ぎ方

手順書で新人が見落としがちな5つのポイント

「手順書どおりにやったのに、うまくいかなかった」「手順書にない画面が出て固まってしまった」。運用の現場に入った新人エンジニアなら、一度は経験する場面ではないでしょうか。

この記事では、監視・運用の現場で10年以上手順書を読み、書き、直してきた筆者が、新人が手順書で見落としがちな5つのポイントを実例をまじえて解説します。

結論から言うと、手順書の事故は「手順そのもの」ではなく、手順の前後にある「前提条件・対象・戻し方・更新日・例外」の読み飛ばしから起きます。

この記事でわかること

  • 手順書で新人が見落としやすい5つのポイント
  • それぞれを見落とすと、現場で何が起きるのか
  • 手順書を読む前に確認する「5つのチェック」の習慣
目次

手順書の見落とし1:冒頭の「前提条件」を読み飛ばす

いちばん多いのが、手順の本文にいきなり飛んで、冒頭の前提条件を読まないケースです。

前提条件には「作業前にバックアップを取っていること」「対象のサービスを停止していること」「特定の権限でログインしていること」など、手順が成立するための条件が書かれています。ここを飛ばすと、手順の途中で「権限がありません」と止まったり、最悪の場合は動いているシステムに変更をかけてしまいます。

手順書を開いたら、本文より先に「前提」「事前準備」「注意事項」の見出しを探して読む。これだけで防げる事故はとても多いです。

手順書を開いたら作業前に確認する5点:前提条件・対象・戻し方・更新日・例外
図: 手順書を開いたら作業前に確認する5点:前提条件・対象・戻し方・更新日・例外(筆者作成)

手順書の見落とし2:「対象」と「環境」の取り違え

2つめは、手順書に書かれた対象サーバー・対象環境と、自分がいま操作している画面が一致しているかを確認しないことです。

手順書は、ひな形として書かれていることがよくあります。「サーバーAでの手順」をもとに、今日はサーバーBで作業する、という場面です。ホスト名やIPアドレス、リソース名を読み替える必要があるのに、手順書のとおりに打ってしまい、別のサーバーを操作してしまうのが典型的な事故です。

対策は単純で、手順書に出てくる「名前」をすべて今日の作業用に書き換えた自分用のコピーを用意してから始めることです。本番と検証でプロンプトの色が変わる設定があるなら、必ず使いましょう。

手順書の見落とし3:「戻し方(切り戻し手順)」を先に見ていない

3つめは、失敗したときにどう戻すかを、作業を始める前に確認していないことです。

手順書の末尾や別紙に「切り戻し手順」が書かれていることは多いのですが、新人のうちは「失敗しない前提」で読み始めてしまいます。ところが実際には、想定外のエラーが出たときこそ時間との勝負です。そのときに初めて切り戻し手順を探し始めると、判断が遅れて影響が広がります。

作業の前に、次の3つを必ず確認しておきましょう。

  • どの時点までなら、何もせずに中止できるか
  • 途中で失敗したら、何を実行すれば元に戻るか
  • 戻せない操作(削除・上書き)はどの手順か。そこが「引き返せない地点」

手順書の見落とし4:「更新日」と「バージョン」を見ていない

4つめは、その手順書が今の環境に合っているかを確認していないことです。

手順書は書かれた瞬間から古くなります。OSやミドルウェアのバージョンが上がる、管理画面のメニュー名が変わる、コマンドのオプションが変わる。こうした変化に手順書が追いついていないことは珍しくありません。「手順書にない画面が出た」の多くは、手順書が古いことが原因です。

手順書を開いたら、最終更新日と、想定しているバージョンを確認してください。半年以上更新されていない手順書は「合っているか疑いながら読む」のが安全です。差分を見つけたら、作業後に手順書を直すところまでやると、チームからの信頼が一気に上がります。

手順書の見落とし5:「例外・注意書き」の小さな文字

5つめは、手順の途中に書かれた「※〜の場合は実施しない」「注:〜のときは担当者へ連絡」のような注意書きを読み飛ばすことです。

手順書は「うまくいく流れ」が太い字で書かれ、例外は小さな注記になりがちです。しかし、その注記こそが過去の失敗から足された大事な情報です。筆者の現場でも、「※再起動前に必ず担当へ連絡」という一文を読み飛ばしたことで、関係者に連絡が行かないまま再起動してしまった例がありました。

読むときは「※」「注」「ただし」「〜の場合」を目で追う癖をつけてください。注記の多い手順書ほど、過去にトラブルがあった手順だと思ってよいでしょう。

手順書を読む前の「5つのチェック」の習慣化

ここまでの5つを、手順書を開いたときの決まった流れにしてしまうのがおすすめです。

  1. 前提条件を読んだか
  2. 対象と環境を今日の作業に読み替えたか
  3. 切り戻し手順と「引き返せない地点」を把握したか
  4. 更新日とバージョンは今の環境に合っているか
  5. 「※」「注」の注記をすべて読んだか

この5項目を作業メモの先頭に書いておき、チェックしてから手順を始める。これだけで、新人の手順書事故の大半は防げます。

手順書で新人が見落としがちなポイントのまとめ

  • 事故は手順の本文ではなく、前提条件・対象・戻し方・更新日・注記の読み飛ばしから起きる
  • 作業前に「5つのチェック」を流れとして固定し、メモに書いてから始める
  • 古い手順書や注記の差分に気づいたら、作業後に直すところまでやると信頼につながる

次に手順書を開くときは、まず冒頭の前提条件と末尾の切り戻し手順から読んでみてください。読む順番を変えるだけで、手順書は「事故のもと」から「あなたを守る道具」に変わります。関連記事:インフラ1年目で身につけたい4つの仕事の習慣

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