CloudWatchとは?監視10年の筆者がまず見る3つの指標

CloudWatchとは?AWSの監視サービスを新社会人向けにやさしく解説

配属先で「とりあえずクラウドウォッチ見て」「アラーム鳴ってない?」といった会話が飛び交い、ついていけないと感じていませんか?CloudWatchは、AWSを使っている現場ならほぼ確実に登場する監視サービスです。

この記事では、そのCloudWatchを「システムの健康診断モニター」というたとえ話を軸に、集めているデータの中身から現場での使いどころ、他サービスとのつながり、料金の考え方までまとめて解説します。

結論から言うと、CloudWatchとは動いているシステムの状態をずっと計り続け、いつもと違う数字が出たら知らせてくれるサービスです。

この記事でわかること

  • CloudWatchがどんなサービスか(たとえ話つき)
  • CloudWatchが集める3種類のデータと、現場で出会う場面
  • 関連サービスとのつながり、CloudWatchの料金と無料枠
目次

CloudWatchとは?一言でいうと「システムの健康診断モニター」

CloudWatch(クラウドウォッチ)とは、AWSが提供する監視のサービスです。正式には「Amazon CloudWatch」といいます。

AWS公式は、CloudWatchを「テクノロジースタック全体を監視および最適化できる」オブザーバビリティサービスだと説明しています。オブザーバビリティとは、中で何が起きているかを外から見て取れる状態のことです。

ここで、病院のベッドわきにある生体モニターを思いうかべてください。脈拍や血圧が波形で表示され、決めた範囲を外れるとブザーが鳴ります。医師がずっと横についていなくても、異変に気づける仕組みです。

CloudWatchがやっているのは、これとまったく同じことです。サーバーの使用率やエラーの数を計り続け、決めた線を越えたら知らせてくれます。

なぜこれが必要なのかというと、クラウドでは目の前に機械が無いからです。オフィスのサーバーなら、ファンの音や本体のランプで異変に気づけました。クラウドにはその手がかりがありません。だから数字で見るしかない、というわけです。

ここが大事な点です。CloudWatchは何かを速くする道具ではありません。いま起きていることを、人間が分かる形にする道具です。

CloudWatchの全体イメージ:集めて、見張って、知らせる
図: CloudWatchの全体イメージ:集めて、見張って、知らせる(筆者作成)

CloudWatchの仕組みと使いどころ

CloudWatchが集める3種類のデータ

CloudWatchを理解する近道は、集めているものを3つに分けて覚えることです。

  • メトリクス — 数字で表せる状態。CPUの使用率、通信量、エラーの件数など
  • ログ — 出来事の記録。「誰が何をした」「ここで失敗した」という文章の並び
  • トレース — 1つの処理がどこを通ってどれだけ時間を使ったかの足あと

健康診断でいえば、メトリクスが体温や血圧の数値、ログが問診票の記録、トレースが検査の流れ図にあたります。

公式ページでも、この3つを「結び付けることで、ツールを切り替えることなく関係をすばやく理解」できる点が強みとして挙げられています。数字で異変に気づき、そのままログで原因を探せる、という流れです。

データの集め方も押さえておきましょう。AWSのサービスは、基本的な数字を自動でCloudWatchへ送っています。設定なしで最初から見られるのはこのためです。

いっぽう、サーバーの中のメモリ使用量や自分で書いたアプリのログは、自動では届きません。そこでCloudWatchエージェントという小さなプログラムをサーバーに入れて送らせます。エージェントはオンプレミスや他のクラウドの機械にも入れられます。

アラームとダッシュボードで気づく仕組み

集めるだけでは意味がありません。人は数字をずっと見ていられないからです。そこで出てくるのがアラームとダッシュボードです。

アラームは「この線を越えたら知らせて」という約束ごとです。たとえば「CPU使用率が80%を5分続けて超えたら通知する」と決めておきます。生体モニターのブザーと同じ役割です。

ダッシュボードは、見たいグラフを1枚の画面に並べたものです。朝いちばんにこれを開いて、昨夜おかしなことが起きていないかをながめる、という使い方をします。

近年は、いつもの動きを学習して外れ値を見つける異常検知や、原因の切り分けを助ける機能も加わっています。ただ、新社会人のうちはまず「メトリクス・ログ・アラーム」の3つが分かれば十分です。

新社会人がCloudWatchに出会う場面

入社1〜3年目でありがちなのは、「エラー出てるらしいからログ見といて」と頼まれる場面です。

このときCloudWatchのどこを開けばいいか分からず固まってしまう、というのがよくあるつまずきです。覚えておくと強いのは、次の順番で見ることです。

  1. まずメトリクスのグラフで、いつから様子が変わったかを確かめる
  2. その時刻の前後にしぼって、ログを読む
  3. 同じ時間帯に他のサービスでも変化が無いかを見比べる

いきなりログを全部読もうとすると、量に押しつぶされます。時刻であたりを付けてから読むのが、遠回りに見えて速い道です。

もうひとつ、自分でアラームを作る仕事も早い段階で回ってきます。ここでのコツは、いきなり厳しい線を引かないことです。すぐ鳴るアラームは、やがて誰にも見られなくなります。鳴ったら必ず何か行動する線だけを引く、と考えてください。

CloudWatchと関連サービスの違い・つながり

まず、監視される側の代表がEC2です。CPU使用率や通信量は自動で送られてきますが、メモリの使用量は先ほどのエージェントを入れないと見られません。「EC2のメモリが見えない」は新人がよくぶつかる壁です。

Lambdaとの関係はさらに密です。Lambdaは自分でサーバーを持たないため、実行のようすを知る手段がCloudWatchのログしかありません。Lambdaを触るなら、CloudWatchはセットで覚える必要があります。

RDSELBも同じです。データベースの接続数や、ロードバランサーが返したエラーの数はCloudWatchで見ます。

混同しやすいのがCloudTrailとの違いです。名前が似ていますが役割が違います。CloudWatchは「システムがどう動いているか」を見るもの、CloudTrailは「誰がAWSに何の操作をしたか」を記録するものです。性能の話か、操作の履歴の話か、で見分けてください。

通知の届け先としてよく組み合わされるのがSNSというサービスです。CloudWatchのアラームが鳴ったらSNSへ渡し、そこからメールやチャットへ飛ばす、という形が定番です。CloudWatch自身はチャットに直接投げるのではなく、知らせる相手をSNSに任せている、と覚えるとすっきりします。

誰がどこまで見られるかの制御はIAMが担当します。ログには個人情報が混ざることもあるため、見せる範囲は必要な人だけにしぼるのが基本です。

CloudWatchの料金と無料枠

CloudWatchの課金は、大きく「自分で送ったデータの量」と「作った仕掛けの数」で決まります。以下は執筆時点(2026年8月)の公式料金ページの内容です。

まず知っておきたいのは、AWSのサービスが自動で送ってくる基本のメトリクスは無料だという点です。お金がかかりはじめるのは、自分で足したものからです。

  • カスタムメトリクス — 最初の10,000個までは1個あたり月0.30 USD
  • メトリクスアラーム — 1つあたり月0.10 USD(複合アラームは0.50 USD、異常検出は0.30 USD)
  • ログの取り込み — 1GBあたり0.50 USD
  • ログの保存 — 1GBあたり月0.03 USD

無料利用枠も用意されています。毎月、次の範囲までは無料で使えます。

  • ログ — 5GBまで(取り込み・保存・検索をあわせて)
  • カスタムメトリクス — 10個まで
  • アラーム — 標準解像度のもの10個まで
  • ダッシュボード — 最大50メトリクスを参照するもの3つまで
  • APIリクエスト — 100万件まで

個人の練習用なら、まず超えない量です。注意したいのは、ログの取り込みだけは思わぬ形で伸びることがある点です。デバッグ用の出力を大量に出したまま本番に置くと、ログ代のほうが高くつくことも起こりえます。

対策は単純で、ログの保存期間を決めておくことです。CloudWatch Logsは初期状態だとログを無期限で持ち続けます。用途に応じて30日などにしておくと、保存料が積み上がりません。

なお料金はリージョンによって違い、見直されることもあります。実際に使う前には、かならず公式の料金ページで最新の内容を確認してください。

現場ノート:監視設計10年の筆者がCloudWatchでまず見る3つの数字

監視サービスの設計は筆者の本業ど真ん中なので、実務の入口を書いておきます。CloudWatchで最初に押さえるべきメトリクスは、欲張らずに3つでよいです。①EC2のCPU使用率(高止まりの検知)、②ステータスチェック失敗(サーバー自体の異常)、③請求アラーム(使いすぎの検知)。特に③は個人学習でも必須です。そして本文の繰り返しになりますが、メモリ使用率は標準では取れない(エージェント導入が必要)という事実は、現場で本当によく踏む落とし穴です。「CPUは平気なのに動きが重い」ときにメモリが見えていない——監視設計のレビューで筆者が最初に確認するポイントです。

CloudWatchのまとめ

ここまでの要点を整理します。

  • CloudWatchはAWSの状態を計り続け、異変を知らせてくれる監視サービス
  • 集めるのはメトリクス・ログ・トレースの3種類。数字で気づき、ログで原因を探す
  • 基本のメトリクスは無料。ログの量と保存期間だけは意識しておく

まずは自分が触っているEC2やLambdaのメトリクス画面を開き、グラフをながめてみてください。「いつもの形」を知っておくことが、異常に気づける人になる最短ルートです。

関連するAWSサービス

監視と通知はセットで設計します。以下の記事もあわせてご覧ください。

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